2010年6月12日土曜日

俺の名は勘九郎(34)

S市の「再開発地域街路灯設置工事」入札日の前日のことでした。徳原エナジルの上野が、浅野のいるフロアにやってきました。
「ちょっと来い!」
浅野の机の前に立った上野はそう言うと、まるで自分の部屋であるかのように社長室に入っていきました。
「明日の金、いくらにするつもりなんだ?」
「6億2千万円にするつもりです。それでも今回は7%以上の利益は出せます」
「バカヤロウ!誰が7%でいいなんて言ったんだ」
「社長である私の判断です」
「お前の判断なんていらねえんだよ。徳原グループの目標利益率がいくらだか言ってみろ」
「営業利益率で10%であることを存じておりますが、浅野ソーラーの、特にウィンディーサニーの販売戦略については、私に委ねられています」
「俺が、許さないといってるんだよ」
そう言いながら、上野はポケットからカード型の電卓を取り出しました。
「なんだと!6億2千万じゃ、一台あたり260万にもならないじゃないか。定価だって280万円だろう!」
「あの定価表は、設計費を別にして、1台を単品で販売するときの目安ですから、今回のように240台も同時に発注してもらえる場合は、格段に安く提供できます」
「バカにするな!それくらいのことは分かってる。だいたいお前、市の予算を知らないのか?」
「280万円×240台、プラス設計検討費用くらいは見込んでいるかもしれません」
「それはいくらだと聞いてるんだよ」


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