2010年7月3日土曜日

俺の名は勘九郎(36)

浅野ソーラーでしか対応できない発注仕様書を作って、それが予定価格のほぼ上限で落札されたのですから、だれかが浅野ソーラーに便宜を図っていると思われても仕方ありません。その嫌疑を最初にかけられるのは、当然、市の開発担当者です。
「浅野ソーラーはそんな会社だったのですか!あなたを信用して、ウィンディーサニーでしか対応できない発注仕様書を作ったんですよ」
市の開発担当者に呼び出された浅野は、申し訳ございません、と言ったきり黙ってしまいました。
「だいたい、どうやってうちの予算を盗んだんですか?」
「盗んだなんてそんな」
「だって、そうでしょう。私は上司以外、誰にも予算の話をしていない。その上司に詰問されたのです。7億円くらいなら仕方ないと思ってたんですよ。それくらいの金額なら、後ろ指をさされることだってなかったんだ。それを9千万円も超えたら、予定価格に収まらないと思うはずでしょう。ギリギリのところを狙ってくるなんて、誰かがあなたに数字を教えたはずだ。一体だれなんです。私が疑われているのですよ」
「本当に、申し訳御座いません。予定価格のことなど、私は気にしたことがありませんでした。適切な利益を頂ければそれでいいと考えてきました」
「だったら、どうしてこんなことになるのですか!」
「それは……」
「もういい。帰って下さい。今回の仕事は契約しますけど、二度とお付き合いはないと思って下さい。」


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