2012年9月29日土曜日

俺の名は勘九郎(95)

《えっ!勘九郎さんは、堀田さんを知っているのですか?》
コタローも声にだして答えた。
《堀田は、俺の同居人と同じ会社にいたんだ。しばらく前に堀田は辞めてしまったけどな。まさか本当にホームレスになっているとは》
《家はありませんけど、生活はちゃんとしてますよ。毎日決まった時間にスーツを着て出かけていきます。3日に一度は銭湯にも行ってるんですよ》
《毎日スーツを着てどこに行ってるんだい?》
《区役所や図書館や、その他にもいろんなところに行っています》
俺たちがそんなやりとりをしていると、堀田がコタローに話しかけてきた。
「カラスとケンカしても、コタローじゃ勝てねえぞ」
しかし、堀田はすぐに俺たちがケンカしている様子ではないことに気づいた。
何だか話をしているみたいだ、堀田はちらりとそんなことを思ったが「飯にするか」とコタローに言って、段ボール箱から取り出したジャージに着替え始めた。


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