2010年4月2日金曜日

俺の名は勘九郎(26)

今日まで、本当にありがとう。そして本当にゴメンなさい。
自ら死を選ぶ人間は、きっと天国にはいけないのでしょうね。だからもう、いくら待っても、和江に会えないことだけが心残りです。

百万回生きたネコ、というお話しを、和江は子供たちに聞かせてあげていましたね。ぼくも百万回生きられるのなら、百万回、和江と出会って、百万回、結婚したいです。
百万回結婚したら、百万回、祥子と玄太が生まれてくるのでしょうか。玄太が先に生まれて、祥子が妹になることだってあるかもしれませんね。それでもぼくは、百万回、この家族と一緒に暮らしたいのです。今度はもっといいお父さんになれそうな気がするな。
和江には「もうこりごり」って言われてしまうかもしれないけれど、もう一度、ぼくはみんなに会いたいのです。

だったらどうして!

今これを読んでいる和江はきっとそう思っていることでしょう。
どうしてかは、ぼくにも分からないのです。
だけども、どうしようもなく疲れてしまったのです。ぼくはもう朝日を見る元気をなくしてしまったのです。お月さまに誘われてしまったのです。
本当に、本当に、ゴメンなさい。
さようなら。
さようなら。


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