2008年11月23日日曜日

大麻汚染は大学生の間で拡大しているのか

11月22日の朝日新聞朝刊に「大麻摘発 最悪ペース 目立つ若者」とあります。「昨年検挙された30歳未満の若者は、1570人で10年前の2.3倍。・・・・今年(10月末現在)に入って大学生は74人が検挙され、昨年同期より10人多い。 早稲田大、慶応義塾大、法政大、東京理科大・・・・」と記事は続きます。

テレビや新聞の報道から、大学生の間に大麻汚染が広がっているような印象を受けます。しかし先の記事から昨年検挙された若者(30歳未満)に占める大学生の比率を類推すると、5%以下に過ぎません。昨年の10月末までに検挙された大学生の総数は64人、1か月あたり、6.4人が検挙されている計算なので、年間77人が検挙されたとします。この人数を1570人で割ると4.9%。
一方、30歳未満の若者総数のうち、大学生はどれくらいの割合でいるのでしょうか?平成17年度の国勢調査の数字を利用すると、10歳から29歳までの人口総数は約2600万人となります。このうち、18歳から22歳までの人口総数は、520万人。平成20年の大学進学率が約55%なので、約290万人が大学生と計算します。したがって、10歳から29歳までの若者に占める大学生の比率は、11%ということになります。1570人の若者が検挙されたならば、そのうちの170人くらいが大学生であったとしてもおかしくありません。10歳の小学生や13歳の中学生が大麻で検挙された話は聞かないので、検挙された若者を15歳から29歳までとすれば、昨年230人くらいの大学生が検挙されても不思議ではない数字になります。
ところが、実際に検挙された大学生は80人以下(推定)。実態としては、若者全体に広がっている現実をとらえて、取締の対策を考えるべきなのでしょう。
たしかに、早大生や慶応大生が「逮捕」されると、ニュースとしてのインパクトがあります。雑誌の特集なら、「一流大学生が大麻所持」と「若者に拡大する大麻汚染」では、販売実績に差がでるのかもしれません。また、「有名大学生逮捕」には一罰百戒的な効果もあるのでしょう。
それでも、一律的な報道に疑問を感じたときは、検証する姿勢を持ちたいものです。

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