2009年1月31日土曜日

再びバーレーン戦について

少し前に、高額なテレビ中継の放映権を購入しない日本サッカー協会を支持すると書きましたが、中継がないとやはり寂しいものです。それでも今回は、文句をいうのはやめましょう。30日の朝日新聞『自由自在』というコーナーによると、バーレーン協会は、スポーツ専門チャンネルのアルジャジーラスポーツに4500万円以下で権利を売却し、日本側と最終的に交渉した「MP&シルバ」という代理店は、約1億円で放映権を売ろうとしたそうです。単なるぼったくりプライスなのか、転売を重ねた結果なのか不明ですが、「買わない」という判断の根拠が示されて、納得できました。シルバ社は、インターネットによる有料放送は行ったそうです。
さて、ネット放送でシルバ社が利益をあげられたのか分かりませんが、1億円という数字をみて不安になりました。10,000円×10,000人=1億円になります。1万円支払ってでもその試合を見たいという人が1万人くらいなら、いるような気もします。だとすると日本のテレビ局が買わなくても、シルバ社には問題がありません。スポーツ全般について同じ原理が成立すると、お金持ちで熱狂的なファンしか中継を見られなくなってしまいます。スポーツ中継が裕福なマニアだけのものになってほしくないというのうは前に書いたとおりです。バーレーン戦のケースがパンドラの箱ではないことを祈るばかりです。
ところで、『自由自在』の最後に、「テレビ中継がなく、一番被害を受けたのはサポーターだろう。彼らに支えられているはずの岡田監督が“生中継があってもなくてもチームにとっては変わらない”と言ったのは寂しかった」とあります。確かにサポーターが聞けば寂しい言葉かもしれません。しかし、「生中継がなかったので、やる気がでなかった」と発言したら、解任間近でしょう。

2009年1月29日木曜日

クラブと学校~トルシエ氏の視点~

朝日新聞の「私の視点」(1月29日付け)に、元サッカー日本代表監督トルシエ氏の選手育成論が掲載されていました。前半部分の趣旨をまとめてみます。
・日本にはジュニア向けのクラブが少なく、学校中心の育成システムに限界がある。
・欧州ではいい子供がいれば、ビッグクラブが連れて行き、高いレベルで日々切磋琢磨させる。
・14~15歳ではリーグ戦を通し、毎週一定のリズムで練習と試合を繰り返す必要がある。
・日本人のサッカーに関する常識を変えるのは、日本に来た外国人か、変革を求めて海外に出て行った日本人のいずれかだろう。
というもので、後半は、自身が総監督を務めるFC琉球の挑戦について書かれています。

子供の頃から優秀な選手を選抜して整った環境の中で育成することは、スポーツを強化するために絶対に必要なシステムだと思います。有名なスポーツ選手には、3歳からラケットを振っていた、5歳で水泳を始めた、放課後に合わせて仕事を切り上た父親にバッティングセンターに連れていかれた、などのエピソードがあります。
学校システムとは切り離したクラブでのエリート育成は成果を生むと思います。しかし、なぜか気持ちよく「全面的に賛成」と言えない心情的な引っかかりがあります。エリート選抜から洩れたその他大勢の子供たちに、「残念ながらあなたたちには期待してませんが、これからも頑張りましょう」と言っているような気がするからです。
マラソンの高橋尚子さんや、野球の上原浩治選手、サッカーの中村憲剛選手は、中学・高校時代は有名選手ではありませんでしたが、その後大活躍しています。上原選手は「雑草魂」という言葉で、自分を鼓舞しているそうです。
エリート育成にも賛成ですが、そこに選ばれなかった人もチャンスを見いだせる未来があること、それがスポーツ分野に限らず活力を維持できる社会なのだと思います。

2009年1月27日火曜日

ニュースに疑問?

「うーん」分からんと思った最近のニュースです。
(1)スピーチライターとゴーストライター
オバマ大統領の演説に優秀なスピーチライターが存在していることは有名です。大統領の信頼が最も厚いスピーチライターは27歳の若さと評判です。オバマ大統領が、基本理念と思想をライターに伝え、二人は言葉のキャッチボールを交わしながら、スピーチライターが原稿を完成させるそうです。 オバマ大統領の演説もスピーチライターの原稿も高い評価を得ています。 一方、日本の国会では、民主党の議員が総理大臣に質問しました。「麻生総理が発表した論文に難しい漢字がたくさん出ている。『中就(なかんずく)、畢竟(ひっきょう)、唯々諾々(いいだくだく)・・・』もっと簡単な漢字の読めないあなたが、こんな難しい漢字の論文を書けるはずがなかい。この論文はだれか別人が書いて、あなたは承認しただけでしょう」という趣旨でした。なかなか説得力のある指摘です。自分で書いたと主張する総理は、『窶す(やつす)』以外はみなさん読めるでしょうと答弁し、国会内にどよめきが起こりました。ここはひとつ米国流に、自分の主義主張を信頼できるライターと言葉のキャッチボールを重ねて練り上げて作ったれっきとした私の論文ですと回答していれば・・・。 「麻生総理、ゴーストライターの存在を認める」という見出しで報道されてしまうでしょうね。残念。

(2)農業予算増加で「温かい県政」 山形県知事に民主・共産・社民党が支援した無所属の吉村氏が当選しました。現職で2期目を目指した斎藤氏の落選は自民党の衰えを鮮明にしていると朝日新聞にあります。社説のタイトルは「『温かさ』が勝った意味」です。 麻生内閣の不人気のせいか、いわゆる「加藤の乱」のしこりで自民党の斎藤氏支援が分裂したためなのか、自民党サイドにも減点理由はあるでしょう。また、吉村氏の政策や人柄が支持されたことも勝因かもしれません。現職の斎藤氏は、県の財政改革や行政変革での実績を訴えたそうです。県職員の人件費を累積で200億円削減するなど、痛みをともなう改革だったようです。一方で、吉井氏は公共事業予算の増額を掲げ、「温かい県政」を訴えて当選しました。 行政の無駄を排除し、必要な分野に限定した公共事業推進を目指した人を支援したのが自民党。 農業や公共事業が暮らしに重大な影響を与えるとして、その予算拡大を公約した人を支援したのが民主党。 いつもの構造と反対のような気まします。麻生内閣が、「温かい国政」を掲げて公共予算の大幅増額を公約に挙げたら、自民党と民主党の主張が一致して大連立政権を樹立する? などということはないでしょう。

2009年1月25日日曜日

ヒール朝青龍 と “ヒーロー” 白鵬

大相撲初場所の優勝決定戦では、力強い相撲で朝青龍が勝ちました。序盤の勝ち方と終盤の勝ち方では別人のような取り口でした。朝青龍が「人気者」なのかそうでないのかは不明ですが、いないと大相撲が盛り上がらないことは確かです。場所前は、引退危機が大々的に報道されました。初日に白星を挙げた時の観衆の拍手は、温かみもあり、同情的であり、真に応援する気持ちが表れていたようでした。翌日のファンのコメントにも、「強すぎたときの憎らしさはなくなり、痛々しさに応援したくなる気持ち」というものがありました。それが千秋楽になると、結びの一番の前には場内に「白鵬・白鵬」のコールが起こっていました。わずか2週間で強すぎる朝青龍が復活したことを証明するコールでした。
“ヒール”という言葉がこれほどぴったりするスポーツ選手は珍しいものです。朝青龍の実際の人となりは分かりませんが、普段の言動がつくるイメージはまさに“ヒール”です。貴乃花が横綱だったころ、曙は相対的な“ヒール”でした。横綱時代の曙に悪役的な言動はありませんでしたが、貴乃花の「かたき役」として“ヒール”でした。今の白鵬はヒーローの位置にいますが、強い朝青龍がいるときにだけ成立する基盤脆弱な“ヒーロー”です。朝青龍が引退してしまうと、一人強すぎる外国人横綱という微妙な立場に立ち、次代の日本人ヒーローが現れたときには、相対的な“ヒール”にされてしまうような気がします。
がんばれ、青白。

2009年1月24日土曜日

バーレーン戦の生中継

サッカーのアジアカップ最終予選・バーレーン対日本(日本時間 29日 午前0:15開始)が国内で生中継されないことが決まりました。バーレーン協会が代理店に販売した放映権が高額すぎて、日本側との交渉がまとまらなかったそうです。日本側の交渉主体がどこか記事(23日 朝日新聞)にはありませんでしたが、その決断を支持したいと思います。
2002年の日韓ワールドカップの放映権料は、約1400億円で、98年のフランス大会の10倍近い金額になった(週刊ダイヤモンド08年8月2日号)そうです。サッカーに限らず、スポーツ・ビッグイベントのTV放映権料が高騰しつづけることに疑問を感じます。放映権料の値上がりは、競技団体の財政をうるおし、競技の発展に必要な資金源を確保できるという面もあるでしょう。しかし転売される放映権料は、最終的には広告スポンサー料やNHKの受信料として支払われることになります。スポンサーは支出する費用に対して宣伝効果が少ないと判断すれば広告主にならないでしょうし、NHKがワールドカップを理由に受信料を引き上げることもないでしょう。放映権料が極端に高騰するとTV中継できないという事態が起こるのではないかと思っていますが、今回の「バーレーン戦生中継なし」はそれと同じ原理なのだと思います。
バーレーン協会から権利を購入した代理店は、日本側が最終的には「必ず買う」という予測のもとに強気の交渉をしたのでしょう。バーレーン戦の生中継が見られないことは残念ですが、たまにこのような決断があると放映権料の高騰にも歯止めがかかるかもしれません。
もしワールドカップ本戦でも同じようなことが起こると、お金を払っても中継を見たいという人がたくさん出てくるでしょう。そうなると地上波では中継されず、ペイ パー ビュー方式でないと見られないことになってしまうかもしれません。これでは、スポーツ中継が熱狂的なファンだけのものとなり、スポーツそのものが縮小均衡に陥ってしまいます。昔はテニスの全豪オープンや全仏オープンも地上波で見られましたが、最近では地上波の中継はありません。日本のプロ野球も地上波放送が少なくなってきました。
スポーツに興味のない人には好ましい傾向かもしれませんが、スポーツファンにはさびしい状況です。

2009年1月22日木曜日

全国体力調査

文科省が「全国体力調査」の結果を公表しました。福井県・千葉県・秋田県などが上位で、東京・神奈川・大阪などの大都市を抱える都府県は下位に甘んじています。大都市には子供が運動する場所が少ないためのような気もしますが、地方の成績が押し並べてよいわけでもありません。「全国学力調査」の成績と似た傾向にあり、学力と体力に相関関係があるとみる教育委員会もあるようです。どちらも、「テスト対策」をしっかりやった県が上位に入ったような気もしますが。

朝日新聞の記事には、”一喜一憂 体力でも” の見出しと ”文科省は「過度な競争意識をあおらないようにしたい」としているが、現場の教員には、順位を上げることを目的にするような風潮が広がらないか不安視する声もある”などとあり 、大阪府橋下徹知事の ”学力も体力も低い、大阪はどないすんねん”というコメントも載せられています。しかし、この手の調査を実施して、一喜一憂せずに泰然自若としている姿が模範なら、そもそも調査する意味があるのでしょうか?調査の背景には、「学力も体力も、低いよりは高い方がいい」という思想があるはずです。学業成績が悪くても体力がなくても、教育現場や子供にプレッシャーを与えず、のびやかに成長することが第一であるなら調査は必要ありません。学業にしてもスポーツにしても成果を発表する場があった方がやる気がでます。テストやスポーツ大会がなくても、自発的に勉強したり運動することで自分を成長させることができれば理想ですが、お尻に火がつかないとやる気が出ない人の方が多数派です。調査項目だけを徹底訓練し、テストの点数UPだけが最終目的となってしまう成績至上主義はあきらかな誤りです。しかし、学力や体力の向上を、精神的にも健康的にも豊かな社会の実現につなげる手段として利用することは必要であり、そのためにある程度の競争原理を取り入れることはやむを得ません。

さて、毎日朝食を食べる子供は、学力調査でも体力調査でも成績がよい傾向にあったそうです。個人的な経験においても、朝食抜きの時代と朝食ありの時代では、午前中のパフォーマンスに大きな差を感じました。朝食の重要性が判明しただけも、調査を実施した甲斐がありそうです。

2009年1月21日水曜日

新大統領と新社長

オバマ氏がアメリカの大統領に就任しました。初の黒人大統領であることや47歳という若さ、さわやかで意思の強さを感じさせるスピーチなど、アメリカ国民ならずとも期待したくなる気持ちは理解できます。
”「地球市民の大統領」と呼んでもいいくらいだ”と称賛するジャーナリストもいました。一方、ワイドショーでは「それにくらべて、この国の総理大臣は・・・」という論調です。「オバマはよくて、アソウだめ」をもっともらしく解説できる人が、今週はマスコミで重宝されるのでしょう。

トヨタ自動車は、豊田章男副社長が社長に昇格する人事を発表しました。創業家への「大政奉還」で難局を乗り切る方針と報道されています。こちらは、日本経済のみならず世界経済にも影響する出来事の一つかもしれません。

昨日(20日)は、「西松建設 国沢前社長を逮捕」というニュースもありました。オバマ氏の大統領就任がなければ、今日の一面のトップだったかもしれません。裏金問題に絡む外為法違反の容疑で逮捕されたそうです。「前社長」と書いてあると、今の社長とは別で、過去に会社のトップだった人が逮捕されたように感じます。実際には国沢社長が20日付けで辞任し、副社長が新社長に就任する人事が行われていました。逮捕された「前」社長は、逮捕の直前まで現職の社長だったわけです。
姑息な感じですが、企業としてはイメージダウンを少しでも低下させるリスクヘッジも狙ったのでしょう。他の大きなニュースの陰に隠れましたが、マスコミが暇な時期ならバッシングされているかもしれません。

ニュースバリューによる報道量の差とマスコミが社会へ与える影響というものについて、少し考えました。