2009年1月25日日曜日

ヒール朝青龍 と “ヒーロー” 白鵬

大相撲初場所の優勝決定戦では、力強い相撲で朝青龍が勝ちました。序盤の勝ち方と終盤の勝ち方では別人のような取り口でした。朝青龍が「人気者」なのかそうでないのかは不明ですが、いないと大相撲が盛り上がらないことは確かです。場所前は、引退危機が大々的に報道されました。初日に白星を挙げた時の観衆の拍手は、温かみもあり、同情的であり、真に応援する気持ちが表れていたようでした。翌日のファンのコメントにも、「強すぎたときの憎らしさはなくなり、痛々しさに応援したくなる気持ち」というものがありました。それが千秋楽になると、結びの一番の前には場内に「白鵬・白鵬」のコールが起こっていました。わずか2週間で強すぎる朝青龍が復活したことを証明するコールでした。
“ヒール”という言葉がこれほどぴったりするスポーツ選手は珍しいものです。朝青龍の実際の人となりは分かりませんが、普段の言動がつくるイメージはまさに“ヒール”です。貴乃花が横綱だったころ、曙は相対的な“ヒール”でした。横綱時代の曙に悪役的な言動はありませんでしたが、貴乃花の「かたき役」として“ヒール”でした。今の白鵬はヒーローの位置にいますが、強い朝青龍がいるときにだけ成立する基盤脆弱な“ヒーロー”です。朝青龍が引退してしまうと、一人強すぎる外国人横綱という微妙な立場に立ち、次代の日本人ヒーローが現れたときには、相対的な“ヒール”にされてしまうような気がします。
がんばれ、青白。

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