2009年1月29日木曜日

クラブと学校~トルシエ氏の視点~

朝日新聞の「私の視点」(1月29日付け)に、元サッカー日本代表監督トルシエ氏の選手育成論が掲載されていました。前半部分の趣旨をまとめてみます。
・日本にはジュニア向けのクラブが少なく、学校中心の育成システムに限界がある。
・欧州ではいい子供がいれば、ビッグクラブが連れて行き、高いレベルで日々切磋琢磨させる。
・14~15歳ではリーグ戦を通し、毎週一定のリズムで練習と試合を繰り返す必要がある。
・日本人のサッカーに関する常識を変えるのは、日本に来た外国人か、変革を求めて海外に出て行った日本人のいずれかだろう。
というもので、後半は、自身が総監督を務めるFC琉球の挑戦について書かれています。

子供の頃から優秀な選手を選抜して整った環境の中で育成することは、スポーツを強化するために絶対に必要なシステムだと思います。有名なスポーツ選手には、3歳からラケットを振っていた、5歳で水泳を始めた、放課後に合わせて仕事を切り上た父親にバッティングセンターに連れていかれた、などのエピソードがあります。
学校システムとは切り離したクラブでのエリート育成は成果を生むと思います。しかし、なぜか気持ちよく「全面的に賛成」と言えない心情的な引っかかりがあります。エリート選抜から洩れたその他大勢の子供たちに、「残念ながらあなたたちには期待してませんが、これからも頑張りましょう」と言っているような気がするからです。
マラソンの高橋尚子さんや、野球の上原浩治選手、サッカーの中村憲剛選手は、中学・高校時代は有名選手ではありませんでしたが、その後大活躍しています。上原選手は「雑草魂」という言葉で、自分を鼓舞しているそうです。
エリート育成にも賛成ですが、そこに選ばれなかった人もチャンスを見いだせる未来があること、それがスポーツ分野に限らず活力を維持できる社会なのだと思います。

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