2009年3月22日日曜日

ほしいもの

優れた芸術活動を表彰する「第1回伊丹十三賞」を、コピーライターの糸井重里氏が受賞しました。“1日に140万件のアクセス数を誇るホームページ「ほぼ日刊イトイ新聞」の功績が称えられた”そうです。
「ほぼ日刊」のタイトルながら、毎日更新されるエッセイをしばしば読んでいます。読者の期待に応えるエッセイを10年以上一日も休まずに更新していることに驚きますが、そこに「本物」とか「実力」を感じます。

「ほしいものが、ほしいわ。」
糸井重里氏が作ったCMコピーはたくさんありますが、ぼくが真っ先にに思いだすのは、これです。
記憶がさだかでないのでネット上で調べてみると、1988年に西武百貨店向け作られたようです。
いわゆるバブル経済が始まったころで、株や土地の値段がどんどん上がり、お金さえあれば何でも買えるという風潮に対して、「じゃあ、ほんとうにほしいものってなんなの?」と問いかけているコピーだったような気がします。

自動車を買えるのは大金持ちで、テレビを買う前に先ずは洗濯機、子供にとってグローブは夢の一品という時代がかつてありました。経済成長の途上にあったころの日本には「ほしいもの」がたくさんあって、それを買った時の喜びは今とはずいぶん違ったのでしょう。
バブルがはじけて、失われた10年があって、実感のわかない戦後最長の好景気が終わりました。この間に、電話は携帯できるようになり、パソコンが普及し、車にはナビゲーション機能がつきました。どれも技術革新によるすばらしい商品なのですが、買った瞬間に達成感が満たされるような「どうしてもほしいもの」ではなかったような気がします。

そして気がつけば、100年に1度と言われる大不況の真っただ中。「ほしいものは、明日の仕事」という 時代が終わったとき、ほんとにほしいものが見つかるのかもしれません。

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