2008年12月7日日曜日

自己責任か連帯責任か

ボクシングの定年制度に関する話題が、ときどき取り上げられます。元世界王者の辰吉丈一郎(38歳)がタイで試合をしたことが契機となっているのでしょう。
ヨネクラジムに所属する西沢ヨシノリ(42歳)も海外で試合を続けています。ヨネクラジムの会長は、年齢で規定する定年制度そのものに反対しています。日本ボクシングコミッション(JBC)の既定では、原則、満37歳でライセンスが失効します。事務局長のコメントに「ボクシングは危険と隣り合わせ。どこかで線を引くしかない」とあります。(以上 12月2日 朝日新聞朝刊より)
余力があるうちに引退するも、ボロボロになるまで続けるも、スポーツ選手には自分の意思で進退を決めてほしい。個人的にはそう考えています。しかし、安全面に問題がある場合、本人の意思だけを尊重すべきと断言できません。自分の意思でやるのだから怪我しても自己責任、という意見もあると思います。選手本人が本当に命がけで戦っているケースもあるでしょう。その心意気は観ているものを感動させます。しかしプロスポーツ選手の場合、金銭的な影響が本人以外にも波及します。結果的に、周囲の思惑が選手を動かしてしまうケースもあります。
事故が起こってしまえば、関係者や監督すべき組織がやめさせるべきであったと非難される場面も出てくるでしょう。自己責任を超えた連帯責任が生じているはずです。
神戸9クルーズは、いくつかあるプロ野球の独立リーグの中で、最も有名なチームの一つでしょう。トライアウトに合格した吉田えりは、プロ野球選手としての実力に問題がないのだと思いますが、安全面を疑問視する声もあります。人気だけが先行しすぎると、実力をつける前に登板する機会が出てくるかもしれません。プロ野球選手としてマウンドに立つ本人の夢や球団の営業的要素は理解できますが、万が一の結果に対する責任は個人や監督だけが負うものではありません。球団にも責任がある。リーグにも、マスコミにも・・・。社会全体を連帯責任の装置と考えることもできます。

・険しい山の登頂に挑む。
・前人未到の地を冒険する。
・戦地を報道する。
・政情不安な国を放浪する。
・プロスポーツ選手の限界へ挑戦。
線引きは簡単ではありませんが、その人の行動を社会として止めるべきか否か、そこが自己責任と連帯責任の境界なのだと思います。

文中敬称略

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