2008年12月16日火曜日

カーボン・オフセットの年賀ハガキ

温暖化対策の一つにカーボン・オフセットという手法があります。生活したり商品を購入すると、その過程で二酸化炭素を排出します。排出した二酸化炭素を打ち消すために必要な費用を、受益者が負担する仕組みです。例えば、快適に生活するためにエアコンで暖房したとしましょう。厚着して我慢すれば二酸化炭素は発生しませんが、暖房器具なしで冬は過ごせません。やむを得ず発生した二酸化炭素を打ち消すために、通常の電気料金に二酸化炭素の吸収に必要な料金(植林に必要な費用の一部など)を上乗せして支払うのがカーボン・オフセットの考え方です。
年賀ハガキにもカーボン・オフセットタイプと通常タイプがありました。カーボン・オフセットタイプは通常タイプより1枚あたり5円高く設定されています。環境意識が高い人はこちらを買いますが、そうでない人は通常タイプを買います。1枚あたり5円の費用で、排出した二酸化炭素と吸収する二酸化炭素が同量になるのがカーボン・オフセットの建前です。しかし、50円のハガキに対して5円くらいの上乗せがちょうどいいので、その価格に設定したようにも感じます。実際に計算すると1枚あたり4.3円かもしれませんし、5.7円かもしれません。もちろんちょうど5.0円という可能性もあります。「5.7円なら許せるが、4.3円だったらけしからん」と思うくらいなら、最初から通常タイプを買えばいいのですが、いまいち納得できません。環境のために必要なのだからすべてをカーボン・オフセットタイプにすべきだという別な議論もあります。この論理だとすべての商品をカーボン・オフセットタイプにすべきだということになるのですが、それなら消費税の一部を環境税にすべきです。ゴミ焼却設備や下水道設備を環境意識の高い人たちだけのお金で賄うことはできません。カーボン削減が社会生活に必要なものであるなら、やはり税金として徴収すべきでしょう。
年賀ハガキ売り場の前でしばし考えていると、「日本郵便」のはっぴを着た売り子さんに「どのタイプにされますか?」と聞かれたので質問してみました。
「このカーボン・オフセットタイプというのはなんですか?」
「あ、これは環境のため寄付金つきのハガキです」
寄付なんだ! それなら5円でも10円でも設定は自由です。うーん、それならカーボン・オフセットと言わずに環境保護の寄付金つき年賀ハガキと書いておけばいいのに。
頭のなかで屁理屈をぐるぐるめぐらせながら、インクジェットタイプ(通常料金)を買って帰りました。

※環境省のHPに記載されているカーボン・オフセットの定義
カーボン・オフセットとは、日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、[1]まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、[2]どうしても排出される温室効果ガスについてその排出量を見積り、[3]排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です。

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