2008年12月1日月曜日

裁判員裁判と被害者参加制度

裁判に関する制度に変更があり、12月1日から刑事裁判において被害者参加制度が始まります。これまでは証人や傍聴人としてしか裁判に参加できなかった被害者やその家族が、被告人に質問をしたり、求刑することができるようになります。裁判報道を見ていると、裁判官が、被害者やその家族の心情からあえて距離をとっているような印象を受けることがしばしばあります。「適切な判断を下すため、法廷論争に感情論は不要」だということでしょう。

人の腕をナイフで刺すという2つの事件が発生したとします。被害者の意見以外は同じ条件下で起こった事件だと仮定しましょう。被告人は「相手は誰でもよかった」と発言しました。
「怪我のせいで2ヶ月間仕事をすることができず、その間の収入が0になってしまった。家族の食事代さえままならない生活を余儀なくされた。」と訴え、被告人に重い刑を求める被害者Aさんのケース。
怪我の回復には2か月程度かかりましたが、収入を含め経済的な影響はあまり大きくなかった被害者Bさん。「被告人の行為は許せません。適切な刑が執行されることを望みます」と主張します。
この2つのケースでは、刑の重さに差があるべきでしょうか?被害者が求刑することがなかったこれまでなら、量刑に差は生じないのでしょう。では、Bさんの発言がさらに踏み込んで、「被告人の行為は許せませんが、更生のチャンスがある寛大な配慮も必要と考えます」と発言したらどうでしょう。

被害者が意見や求刑できる制度には賛成です。しかし、法律の専門家でないぼくが、このような問題を裁く立場になったら、正しい判断ができるのか甚だ疑問です。裁判員裁判の候補者通知が来ていないことに、ほっとする人もたくさんいるのではないでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿