2009年4月25日土曜日

偽善人でいこう!

“ 「クン」をつけずにはいられない清潔感と温かい人柄がにおう人 ” 読売新聞の「編集手帳」では、SMAPの草なぎ「クン」をそう評しています。

草なぎ クン が主演していた「いいひと。」というドラマがありました。ドラマはほとんど見ませんでしたが、原作のマンガはよく読んでいました。もう10年以上前のことです。主人公の「ゆーじ」という青年の行動基準は、「自分のまわりにいる人に幸せになってもらいたい」というもので、それを実践する本当に “いいひと” でした。いい人がいい事をするだけのつまらない話でなく、人間の本質を考えさせるようなマンガだったから、好評で長く連載されたように記憶しています。

20代だったぼくは、マンガの主人公のように生きられたらいいのだろうけど、現実の人間が全く同じように行動したら「偽善者」といわれてしまうのだろうな、と考えていました。
「 『いいひと』 宣言する必要はないけれど、心ひそかにいい人でいよう」とか、
「結局、それだって、他人からいい人っぽく見られたいだけの偽善なんだよな」など
若いなりの悩みをもったものでした。そして、「偽善でも、なにもしないよりマシ。でも“偽善者”は響きが悪いから、“偽善人”でいこう」と考えました。
結果として日々善行に励むことができた・・・、わけではなく、毎日普通に暮らしてきました。
考えてみると「偽善人でいこう」と高らかに宣言すること自体、予防線を張っているようでかなり偽善的な行為です。

昨年亡くなった永井陽之助という政治学者は、「政治というものは、『悪徳』よりも『偽善』が優越する不正儀の秩序である」と言ったそうです。
心の問題として考えるより、社会秩序の問題として割り切った方が、実践しやすいのかもしれません。

さて、「いいひと。」の主人公のイメージとぴったりだった草なぎ クン 。20年以上「いいひとカラー」の服を着ることを義務づけられていたのかもしれません。仙人でもなければ完璧な善人ではいられないのですから、たまには脱いじゃってもいいんじゃない。

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