2009年5月28日木曜日

グイン・サーガを残して

作家の栗本薫さんが、すい臓がんのために亡くなりました。代表作の『グイン・サーガ』は、一人の作家が書いた作品としては世界最長とも言われているそうです。書くことに対する栗本さんの執念は深く果てしなかったようで、読売新聞の記事によると「元気なころは一日50枚書けたのに、最後は数枚しか書けないことをとても悔しがっていた」と夫の今岡清さんは語ったそうです。テレビのニュースでは、月1000枚以上の原稿を書いていたと紹介され、着物姿でパソコンを打つ指の早さは、タイプライターの名人がキーを叩くような早さでした。手書きの原稿をワープロに打ちかえるだけだとしても驚異的な早さですが、一日に50枚書くということは、文章を考えながら文字に変換していく作業を行っていたはずです。
試しに、今書いているこのブログを、昨日テレビで見た映像と同じリズムでキーを叩いてみました。すぐにミスタイプして、頻繁に後戻りしてしまいます。あのスピードで原稿を書くことが月産1000枚以上につながるのでしょう。これは毎月3~4冊もの本を出せるペースです。
「自然と湧き出る力に押されて、一気に原稿を書いてしまった」と作家が語ることがありますが、栗本さんの場合は常にそのような状態だったのかもしれません。

「とても真似できない」と思うか「少しでも近づきたい」と思うかは自分次第、というお話でした。

以上、原稿用紙約1枚分の内容を5分ほどで書くことができました。
と言えれば、合格点なのですが・・・・・・まだまだこれから。

2009年5月27日水曜日

一人の大臣

年金も、インフルエンザも、郵便物の不正も、全部一人で監督していたら、舛添大臣には寝る暇もないのだろうなと思っていたら、「厚労省は、一人の大臣が抱えきれる範囲をかなり超えている」ということで、省を分割する案が政府内で検討されています。
ぼくが厚生労働大臣なら、「そいつは助かる」と思ってしまうところですが、舛添大臣はそんなことは言いません。「国土交通省も総務省も巨大な省であるのは一緒だ。検討するなら、厚労省単独ではなく省庁をもう一度再編すべきだ」と言っているのをNHKのニュースで見ました。

安心社会実現会議のメンバーであるナベツネ氏が厚労省の分割案を主導しているためか、朝日新聞の論調は、単純な分割に懐疑的なようです。もちろん読売新聞は積極的な推進論です。どちらにしても、一人の大臣が監督するのに大き過ぎず、縦割り行政の弊害もない適正な規模を探るのは、極めて困難な作業でしょう。

さて、このニュースを見て最初に思ってしまったことは、
山積する日本の難問を、一人の総理大臣で抱え切れるのか?
だったりしました。

2009年5月25日月曜日

大関に「喝」

大相撲夏場所は、大関3場所目の日馬富士が初優勝を飾って、幕を閉じました。
少し前まで「安い馬」だった関取が、今では「富士の上に立つ日本の馬」に名前が変わりました。しこ名も成績も大いに出世しています。
一方、日本人大関の魁皇・千代大海・琴光喜は、そろって8勝7敗の成績に終わりました。3人の最近3場所の成績には、二桁勝利がありません。一時期の魁皇と千代大海には、カド番の場所で優勝したり、優勝の翌場所に負け越したりと大きな波もありました。しかし、今ではカド番の場所とかろうじて勝ち越す場所の繰り返しです。ここは奮起の願いをこめて「喝」を入れなければなりません。

ところで、朝青龍・白鵬・日馬富士の年齢が、順番に28歳・24歳・25歳であるのに対して、魁皇は36歳、千代大海と琴光喜は33歳です。3人の大関が今後2場所連続優勝して、横綱になることは難しいかもしれません。ふがいなさに「喝」を入れたくなるのは期待の裏返しです。
「みっともないから早く引退せよ。そう言われたくないのなら、それなりの結果を残せ」という意見もあると思います。大関の地位に対する期待が大きいほど、そう思うものでしょう。
余力を残して引退する引き際の美学もありますが、自分の納得がいくまでボロボロになっても戦い続ける選手も、ぼくは好きです。
カド番を繰り返す大関に不満をもつファンが多いのも事実で、横綱審議委員会は「累積5回のカド番で降格や引退勧告」などの案を具体的に検討しているようです。ランキングと実力をマッチさせるには、ルールの改定が必要かもしれません。

どんな制度になっても、納得いくまで戦う姿勢とそこにある魂を見せてほしい。それが、魁皇や千代大海に対するぼくの期待です。

2009年5月23日土曜日

ワールドスカッシュデー

昨日(22日)、社団法人の日本スカッシュ協会が開催した「ワールドスカッシュデー」に関連するイベントに参加してきました。2016年の夏季オリンピック競技入りを目指している世界スカッシュ連盟(WSF)は、5月23日を「ワールドスカッシュデー」に指定し、世界各国でイベントを行う予定だそうです。

都内で行われたスカッシュ体験イベントには、松本淳選手・清水孝典選手・松井千夏選手など男女の日本トップクラスの選手が参加し、新聞記者や一般参加の初心者に丁寧な指導をしていました。

「百聞は一見にしかず」と言いますが、「百見は一体験にしかず」でもあるようです。何度かテレビなどでスカッシュの競技を見たことがありましたが、スカッシュのハードさを初めて実感しました。WSFが発表する資料によると、1時間に1500kcalを消費する運動量だそうです。成年男子が1日に消費するカロリーは2200~2500kcalと言われているので、一日の消費量の60%~70%をたった一時間で消費してしまうことになります。

それになにより、オモシロイ ということがわかりました。やってみなければ分からない楽しさがあるのは、すべてのスポーツに共通する要素です。しかし、何を面白いと感じるかには個人差があります。スカッシュは立方体の壁のうち、天井以外の5面を使って行う競技です。前後左右から飛んでくるボールを、テニスと同じようにノーバウンドかワンバウンドで打ち返せなければ、相手にポイントが入ります。ビリヤードの球が立体的に交差する感覚で球筋を読み、それを狙った方向に打ち返して、相手の裏をかくのもスカッシュの醍醐味の一つのようです。
初体験のぼくは、バック・ウォールと呼ばれる後ろの壁まで利用することはできませんでしたが、トップ選手のエキシビジョン・マッチでは頭脳的なプレーのいくつかを垣間見ることができました。

というわけで、みなさんも是非スカッシュを体験してみてください。
IOCが2016年夏季オリンピックの競技種目を決定するのは今年の10月です。道端で外国人から「スカッシュしてますか?」と聞かれたら、「イエス」と答えましょう。
「セコムしてますよ」と答えてはいけません。

2009年5月21日木曜日

水着でおどるな

足にゴム製のひれをつけて泳ぐフィンスイムという競技があります。フィン(ひれ)がついているので、何もつけない状態より早く泳げるのは当然です。イルカの尾ひれ状の一枚フィンをつけて、人魚のように両足を上下させて泳ぐサーフィスという種目があり、100mの日本記録は38秒台です。これはクロールの日本記録よりも10秒ほど早いタイムです。

競泳の男子200m背泳ぎで、入江選手がだした世界新記録が公認されない可能性があります。水着と体の間に空気が入って、浮力を生む構造に国際水泳連盟(FINA)が疑問をもっているようです。レーザーレーサー以来の水着問題を聞くたびに、水着の性能開発も競争に含めてしまえばいいという乱暴な考えが頭に浮かびます。「何を着てもOK」にするとやがてフィンスイムになってしまうわけですね。もちろんフィンスイムにも規則があり、ルールに沿った戦いがあります。

早くFINAが分かりやすい基準を示すべきだと思いますが、公平なルールをつくるには時間がかかるのかもしれません。
FINAには、二枚重ねや首まで覆うタイプの水着を禁止するなどのルールがすでにあります。そして、水着問題の行きつく先には、「またもや日本人に不利なルール」の見出しが待っているような気がします。
例えば、
・男子の場合、水着が体を覆う面積は、体の表面積の40%まで
という規定あると、外国人に比べて体の小さい日本人ほど得られる浮力が小さくなります。

スキージャンプで、板の長さのルール変更があったことを思い出したので、こんなことを書いていますが杞憂で終わってほしいものです。

水着問題に一喜一憂してしまうぼくですが、メタボチックなおなかが恥ずかしいので、水着ではおどらないことにします。

2009年5月19日火曜日

球団の説明責任

横浜ベイスターズの大矢監督が事実上解任されました。昨季のベイスターズは、48勝94敗2分けと大きく負け越しました。今季も37試合で、13勝24敗と最下位に低迷しています。公式戦の1/4が終了し、今日からはセパ交流戦がスタートします。チームが心機一転するために監督を替えるなら、このタイミングしかなかったのでしょう。

しかし、成績不振を理由に監督を解任するなら、昨シーズンが終了したときに替えるべきでした。そして新監督にコーチ他のスタッフを選ばせ、キャンプ・オープン戦を通じて1シーズンを戦う準備をさせるべきです。神奈川新聞によると、今年の大矢監督には人事権がなく、コーチ陣の刷新は球団フロントが主導して行ったそうです。一般の会社で考えると、成績の振るわなかった部署の部長だけを残留させ、次長や課長などの管理職スタッフを経営陣が入れ替えたことになります。経営者にとっては、かわいい部長だったのでしょう。しかし、このまま部長を続投させたのでは昨年と同様の結果になってしまうことが明らかになってきました。そこで、こんどは部長を交替します。
もはや、責任の所在は明らかです。経営陣が襟を正さなければ、社員は身を粉にして働く気が起こらないでしょう。これでは借金はいつまでたっても返済されません。

球団の社長には選手やファンへの説明責任が求められます。それがなければ、客として足を運ぶ気になれません。

2009年5月15日金曜日

ラブレターのあとがき

「ラブレターは朝読み返すな!」だったのか、「朝、読み返してから出せ!」だったのか、もう長いことラブレターなんて書いたことがないので、すっかり忘れてしまいました。
前夜書いたときの勢いそのままに、熱い思いを伝えてしまう方がいいのか、冷静になって読み返してから出した方がいいのか?
Yes にしろ No にしろ、手紙を受け取った人の返事は、読む前から決まっていたようです。サンプル数の少ない経験則なので、一般論ではありません。

さて、今日ある人に手紙を渡してきました。何度も読み直して、何度も書き直したのですが、結局
「俺って、こんなに頑張って、こんなことまでして、こんなに君のこと好きなんだ。こんな俺って、結構かっこよくない?」という内容で終わってしまいました。
「あなたのどんなところに惹かれて、どんなところが好きで、こんな考え方に共感できて、だから一緒にいたいんだ」という大切なことが抜けていました。言いたいことはたくさんあったのに、気がつくのはいつも後からです。

(ブルーハーツ 「ラブレター」より)
♪ あーあー ラブレター 百分の一でも
あー あーラブレター 信じてほしい ♪

今日の手紙は愛をつづったラブレターではありませんが、手紙を書いた最後の余力で「あとがき」をアップしてみました。
公共の?電子信号?を私的に利用できるのがブログのいいところです。

五感を使ってコーヒーを飲む

偶然に、雑誌と新聞で「五感を大切に」という記事を読みました。第六感といわれる「インスピレーション」や「ひらめき」を得るためには、日頃から五感を豊かに使う必要があるそうです。 普段、空気の存在を意識しないように、五感を意識して生活することはほとんどありません。意識せずにすむことのありがたみにさえ、なかなか気がつかないものです。

視覚・聴覚・嗅覚、、、、味覚、、、、、、、触覚。
久しぶりに五感を意識してみたら、こんな順番で脳の引出しから出てきました。「触覚」に至っては、「痛覚?」 「温度の感覚?」などと、やや混乱しながら思い出しました。
さっそく、五感を豊にして、朝のコーヒーを飲んでみます。 真っ先に使うのは、視覚です。いつも使っている緑色のマグカップがあります。木登りしたパンダが枝に腰かけて本を読んでいる絵が描かれています。もう何年も使っているマグカップですが「パンダの絵の緑のカップ」としか認識していませんでした。でもよく見ると、緑色の下地に幹と枝が黒で描かれ、葉っぱは、縁取りと静脈が黒です。葉っぱそのものは、白ぬきの「白」だったことを発見しました。
続いての登場は、触覚です。思い出した順番はどんじりでしたが、出番の早いことに驚きです。右手でカップの取っ手を持ち、左手で本体を包んでみました。温かい感触が両手の指から伝わってきます。冬場なら、感謝の気持ちがワンランク・アップしているかもしれません。でも、温かく感じるということは、相対的に指先が冷たいということです。というわけで、指先から指の根元までを軽くマッサージしてやります。ついでに、足の指もマッサージしておきました。普段意識していない体の部位たちにも、たまには敬意を表する必要がありそうです。
ミルクが入り、マイルドになった茶色の液体を口に運ぶ前に、今日は匂いを意識してみます。少し酸味のありそうな豊潤な香りが漂ってきます。と書きたいところですが、インスタント・コーヒーの匂いがするだけです。何かを感じたいと思い、口ではなく鼻のしたにカップを運び斜めに傾けてみます。危うく、鼻からコーヒーを飲むところでした。嗅覚さん、今日はこれまで。
と、ここまで来て、やっとコーヒーを飲むことができます。苦労してたどりついただけあって、いつものインスタント・コーヒーと比べて格別な苦味の切れがあります。粉の分量が多めだったことは、この際忘れましょう。 というわけで、五感を使ってインスタント・コーヒーを堪能すると、感謝の気持ちでいっぱいになり、とてもおいしく感じられます。
あれ、なにかが足りない・・・。聴覚を使い忘れていました。 仕方がないので、空になったマグカップを耳に当ててみます。すると、海辺で拾った貝殻を耳にあてたときのようなロマンチックな音が聞こえてくるではありませんか。またまた、大発見です。

怪しい人だと思われるので、職場でコーヒーを飲むときに聴覚を使うのはやめましょう。

2009年5月13日水曜日

アリはロックでリズムを刻む

11日の更新に対して 「竹中直人の弔辞は、クサすぎ」というコメントがありました。

ところで、何かの本で、作家の村松友視さんが語っていました。
“ある旅行で、モハメド・アリと一緒の機会があった。アリは常にイヤホンからロックを聴いて、体を揺らしてリズムを刻んでいた。パーキンソン病のために、体が自由にならないことを知り、これが、スーパースターの病との闘い方なのだと思った。・・・ ”
(しばらく前に読んだ本の記憶なので、正確な引用ではありません)

スーパースターにはスーパースターの、名優には名優の生き方があるのでしょう。
清志郎のロックに合わせて、竹中は踊っていた。それもまたよいのです。

2009年5月11日月曜日

竹中直人から忌野清志郎へ

“訃報を聞いて真っ先に思ったのは、どうしよう、ということだった。清志郎の生の声が聴けない世界で、私はいったいどうすればいいのだ。” 5月4日の読売新聞に作家の角田光代が寄せた記事の一部です。

清志郎の訃報を知った夜、ぼくも、同じような趣旨のメールをファン仲間の先輩に打ちました。

寂しい気持ちになってしまうので、何も書かないつもりだったのですが、竹中直人が読んだ弔辞をテレビで見てしまったので、一言。

ぼくは、清志郎と同じくらい竹中直人も好きです。そして竹中直人の弔辞を聴いて、もらいなきしそうになりました。
「おれは、忌野清志郎と友だちなんだぜって、世界中の人に自慢したいです。ずっとずっと自慢してていいですよね、清志郎さん」
なきじゃくり、鼻をかみ、最後は右手を腰にあて、左手を大きく振りながら「またね」と言ってお別れです。
心が伝わってくる、男泣きのかっこいい弔辞でした。

さて、誤解のないよう先に書きますが、この弔辞が竹中直人の演技であるはずはありません。
ただ、映画の一場面として、監督が俳優・竹中直人に指示したら、きっと完璧にこのシーンを演じきってしまうのだろうな、とぼくは感じました。映画の中でも、竹中直人が演じる人の悲しい気持ちを、観客に伝えられる俳優だと思います。

清志郎にしても竹中直人にしても、偉大な表現者というのは、人を魅了する力を遺憾なく発揮して人生を送るのだなと感じさせる弔辞でした。

(本日、敬称略)

2009年5月10日日曜日

「スポーツは国家戦略」なのか?

「○○は××なのか?」とタイトルにあれば、一般的には反語ですね。主張は 「いや、そうではない。なぜなら ~ 」となります。

読売新聞の記事(10日・朝刊)に、 “超党派のスポーツ議員連盟(会長・麻生首相)が検討している「スポーツ基本法(仮称)」の骨子案が明らかになった。(中略) スポーツ政策を国家戦略として位置づけ、国や自治体の責務や義務規定を記載する” とあります。

そして、“ 国際社会で日本の存在感を高める方策として、
1)トップアスリートの支援
2)国際大会の招致
3)スポーツビジネスの充実
4)スポーツ医科学の研究
など ” が盛り込まれているそうです。
上記のことを実現するために、税金が使われるべきなのでしょうか?
と、ここまで反語調で書きつつ、この件について、ぼくは賛成です。

公的資金をどこに投入すべきかについては、さまざまな意見があると思います。
ダムをつくったり、国民全員に定額を給付したり、高速道路の料金を1000円にしたり、介護保険制度を充実させたり、この他にもさまざまな公的資金ニーズがあります。立場によって優先順位のつけ方が違う のは当然です。
ぼくは、スポーツでメシを食おうとしている人間なので、積極的に賛成の立場になります。
しかしながら、この記事を読んだときに「?」の引っかかりを感じたのも事実でした。「国威を示す場面として、スポーツを利用する意図もあるのかな」という感覚です。
一方、お祭りで地域が盛り上がったり、参加してる人が楽しく過ごせたりするのが、ぼくは大好きです。オリンピックやスポーツの国際イベントも大きな祭りのひとつだと思っているので、金額の規模や使途にもよりますが、大会招致やアスリート支援に公的資金が使われても、基本的には賛成です。

というわけで、今回は反語ではなく同調の「?」でした。

2009年5月8日金曜日

「ママ」はハンデ?

日本陸連は、8月にベルリンで行われる世界選手権の男女マラソン代表に佐藤敦之選手と赤羽有紀子選手を発表しました。すでに発表されていた男女各4選手に加えて、5番目の代表が決定しました。読売新聞スポーツ面の見出しは「ママ 赤羽 世界陸上初代表」で、記事には“五輪・世界選手権を通じて、国内では初めての出産経験のある選手”とあります。

「驚き」や「感嘆」は、ニュースバリューのひとつの要素です。
「そいつはすごい!」と素直に思えたとき、人は、下から目線で畏敬の念を抱いたり、上から目線で「ほめて使わす」などと称賛の気持ちが湧いてきたりします。

たとえば「エベレストの最初の登頂に成功した」というのは、文句なしのビッグニュースで、自然に「すごい」という感情が生まれやすいものです。しかし、それ以降は、「○○ルートからの初登頂」とか、「軽装備での登頂成功」などスゴさに解説が必要になります。

スポーツ選手が「ママ」であることを強調される場合、「子供を産んで大変なのに頑張っている」という『スゴさ』が解説されています。サッカー選手の最年長ゴールやプロ野球選手の最年長勝利などが見出しになるのは、「体力的なピークを過ぎているのに」達成できた『スゴさ』が解説されています。
スポーツの場合、「若い男は強い」というのが解説いらずの前提のようです。

さて、出産前後の女性がスポーツをしたり、働くことにハンデがあるのは明らかです。だから産休とう制度がわるわけですね。ところが、解説の中味に「育児する女性がハンデを克服して頑張っている」ことが加わるとジェンダー・ギャップの問題になってきます。
「育児は女性だけが負担すべきものなのか?」
答えは ノー ですが、いまの社会構造を考えると、「イエス」と答える家庭の方が貯金は貯まりやすいのかもしれません。
ラドクリフ(イギリス)・トメスク(ルーマニア)・エゴロワ(ロシア)など、出産経験のあるマラソンの強豪選手はたくさんいます。
女子マラソンで欧米系の選手が活躍する背景には、社会の価値観が影響しているようです。

2009年5月6日水曜日

憲法を振り返る日

最近のゴールデンウィークには「昭和の日」と「みどりの日」があって、なんとなく昭和天皇が生まれた日のおかげで得した気分です。4日の「みどりの日」が祝日として一本立ちしてくれたせいでしょうか、今日は3日の憲法記念日の振替休日です。

というわけで、今日は憲法について振り返ってみたいと思います。

「百獣の王がラインなら、キング オブ 法律は憲法だ」
と、中学時代の先生が言ったかどうかは覚えていませんが、憲法9条を説明するときに、先生が「困った」と発言したのをよく覚えています。

憲法第9条の2項に
「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とあります。
上の条文を読み上げたあとに、その先生は
「自衛隊は戦力じゃないのかと質問されると、それは困ってしまうんだな」と言いました。

正直いって、このとき「法律の中で一番重要な憲法に国が違反しているということは、法律っていい加減なものなんだな」 と思ってしまいました。
大学で法律を学びましたが、ぼくが遵法精神の大切さを理解したのは、社会人になって何年もたってからです。
若いときに法律を守ることの重要性を認められないのは、アウトロー的なものにあこがれる感情もありますが、ぼくの場合は子供のときに持ってしまった最初の印象に引きずられた部分があるようにも感じます。
あるとき友達に訊いてみると、「実は、おれもそう思っていた」という人がほとんどでした…
なんてことはなくて、職場や友人が集まる場で、憲法論議がされることはまずありません。

憲法を護ることにも重要な意味があると思いますが、子供が聞いても矛盾を感じるような部分は、改めるべきだと思っています。

2009年5月3日日曜日

やっぱり生で見たい

今日も、世界卓球選手権ネタです。横浜市民の務めです。福岡選手との対戦では応援していなかった石川佳純選手を、昨日はテレビでしっかり応援しました。16歳で8強入り、1日(金)に書いたシンデレラ・ストーリーに乗っています。しかし今日は、北京五輪金メダリストで世界ランク1位の張選手との対戦、苦戦しそうです。

ところで、石川選手の試合の後に、放送されたのは男子の吉田選手と韓国選手のゲームでした。テレビの放送時間は、あまり残っていません。生中継ではない吉田選手の試合が終了する頃には、放送時間も終わりに近づきそうです。昨日の試合で8強入りの可能性のあった男子選手は、吉田・水谷・松平の3選手でした。男子シングルスの選手が8強入りすれば、24ぶりの快挙となります。前日までの話題性では、10代の水谷選手と松平選手が26歳の吉田選手より上でした。それぞれの対戦相手のランキングをみると、二人の若手は 格上、吉田選手は格下の選手と試合が組まれています。
「ということは、水谷と松平は負けて、吉田だけが勝ったのか」
と思いながら観戦してしまいます。
「せっかく日本で試合をしているのだから、ライブで見せてくれ」と思うのですが、たぶん視聴率を最大にすることをスタッフが一生懸命計算しながら、編集しているのでしょう。
吉田選手は危なげなく8強入りを決めました。そしてすぐに、松平選手の生中継に切り替わりました。対戦相手は中国の馬琳選手で世界ランク2位の強敵ですが、2-2でファイナル・ゲームに入っていきます。
「おー、今やってる試合なら最初にこっちをみせてくれよ」と思いつつも、画面に集中します。松平選手は最終ゲームも4-1とポイントをリードし、大金星に近づきましたが、結局、逆転されてしまいました。しかし、熱い試合に会場も大きな拍手を送っていました。ぼくは、不必要に絶叫するアナウンサーに普段なら辟易してしまうのですが、この試合に限っては、納得です。
やっぱり、「生中継できるなら、最初からこの試合を放送すべきだ」とテレビ局に抗議したくなってしまいます。しかし、番組制作者側は、「吉田のベスト8入りを短時間にして、松平の試合を生中継するのはいいけど、いいところなしで負けそうになったら、お前らすぐにチャンネルを変えてしまうじゃないか」というのでしょうね。

ハイ たぶん、そうです。ゴメンナサイ。

2009年5月1日金曜日

求む! シンデレラ

横浜アリーナで、世界卓球選手権を観戦してきました。
男子では、水谷(29)・吉田(35)・松平(109)の3選手がベスト16入りしました。ちなみに、松平選手は、青森山田高校に通う18歳で、( )内の数字は、世界ランクです。会場は満員ではありませんが、日本人の試合が多いコートは応援席の近くに設置され、その付近はかなりの盛り上がりを見せていました。テレビ中継を意識して会場が設営され、観客もそこを中心に席を埋めていくので、結果的にテレビ映りは見栄えのするものに仕上がっているようです。
日本人の男子選手が16強入りするのは、12年ぶりのことだそうです。大会前に、注目されていた女子の福原選手や平野選手が早々に敗退してしまったのとは対照的な結果になりました。普段より声援が大きいことは、期待を背負う選手にはプレッシャーとなり、チャレンジャーにとっては背中を押してくれるものなのかもしれません。

ところで、この日のマスコミ的な注目の一戦は、福岡春菜選手(33) VS 石川佳純選手(105)だったようです。二人の対決が始まった瞬間に、カメラマンの数がグッと増えました。勝った方が、ベスト16に進出です。16歳の石川選手は、前日に世界ランク10位の香港選手を破っての3回戦進出であり、14歳のとき、世界選手権に初出場しています。従って、マスコミは「ポスト愛ちゃん」的な役割を石川選手に期待しているようです。コートの後ろにカメラマンがずらりと並ぶのですが、試合開始の時点では、福岡選手の背中・石川選手の顔、が写る位置取りです。第1ゲームが終わってコートチェンジすると、反対側に移動するカメラマンが少なからずいました。常に、石川選手の表情を狙うシフトです。タイムアウトでドリンクを飲むときには、ほとんどのカメラマンガ石川選手の方にレンズをむけて、シャッターをきりました。
こうなるとぼくは、俄然、福岡選手を応援したくなってしまいます。対戦カードを見た時は、「どちらかと言えば石川・・・かな」と思っていたのに、気持が変わってしまいました。たぶん、ひねくれた性格なんだと思います。昔はアンチ巨人で、貴乃花と曙なら、曙を応援していました。

でも、カメラマンの大移動を見る前まで「なんとなく石川」だったのは、16歳でランク105位の選手が、この大会で一気に駆け上がるシンデレラ・ストーリーを期待していたせいだと気づきました。
それが、ぼくの自然な気持ちで、そんな世の中の潜在ニーズにマスコミが応えようとしているのか、スターを作り上げたいマスコミに誘導されて生じた気持ちだったのか、もう少し時間がたたないと判断がつかないようです。

そのゲームは4-1で、石川選手が勝ちました。
もちろん、日本人選手の明日からの活躍に期待しています。