2009年5月8日金曜日

「ママ」はハンデ?

日本陸連は、8月にベルリンで行われる世界選手権の男女マラソン代表に佐藤敦之選手と赤羽有紀子選手を発表しました。すでに発表されていた男女各4選手に加えて、5番目の代表が決定しました。読売新聞スポーツ面の見出しは「ママ 赤羽 世界陸上初代表」で、記事には“五輪・世界選手権を通じて、国内では初めての出産経験のある選手”とあります。

「驚き」や「感嘆」は、ニュースバリューのひとつの要素です。
「そいつはすごい!」と素直に思えたとき、人は、下から目線で畏敬の念を抱いたり、上から目線で「ほめて使わす」などと称賛の気持ちが湧いてきたりします。

たとえば「エベレストの最初の登頂に成功した」というのは、文句なしのビッグニュースで、自然に「すごい」という感情が生まれやすいものです。しかし、それ以降は、「○○ルートからの初登頂」とか、「軽装備での登頂成功」などスゴさに解説が必要になります。

スポーツ選手が「ママ」であることを強調される場合、「子供を産んで大変なのに頑張っている」という『スゴさ』が解説されています。サッカー選手の最年長ゴールやプロ野球選手の最年長勝利などが見出しになるのは、「体力的なピークを過ぎているのに」達成できた『スゴさ』が解説されています。
スポーツの場合、「若い男は強い」というのが解説いらずの前提のようです。

さて、出産前後の女性がスポーツをしたり、働くことにハンデがあるのは明らかです。だから産休とう制度がわるわけですね。ところが、解説の中味に「育児する女性がハンデを克服して頑張っている」ことが加わるとジェンダー・ギャップの問題になってきます。
「育児は女性だけが負担すべきものなのか?」
答えは ノー ですが、いまの社会構造を考えると、「イエス」と答える家庭の方が貯金は貯まりやすいのかもしれません。
ラドクリフ(イギリス)・トメスク(ルーマニア)・エゴロワ(ロシア)など、出産経験のあるマラソンの強豪選手はたくさんいます。
女子マラソンで欧米系の選手が活躍する背景には、社会の価値観が影響しているようです。

0 件のコメント:

コメントを投稿